漱石 ✕ 若者

「姜尚中先生×高校生」トークセッションについて(報告)

特別企画

熊本信愛女学院高等学校俳句同好会

漱石と熊本を詠む

それぞれに夢 吾輩通りの春

我が校の前にある我輩通り。ここから巣立つ卒業生がそれぞれに夢を抱えている様をイメージしました。

夢語るごと辛夷の実はこぼれ

辛夷の実がこぼれるように落ちる様子が、人が話をしているように見えたという句です。

内田 京花

漱石をめくれば肥後の空高し

読書の秋に漱石を読みふけっている私です。「昔、漱石は確かにこの土地を歩いて、私と同じ秋の空を眺めていたんだな」などと考えている様子を詠みました。

大濵 倫寧

漱石の旧家に生まる赤とんぼ

漱石のいない旧家で生まれる新しい生命。同じように漱石の意思や志をこの熊本で受け継いでいる人がいるのではないかと感じて作りました。

受験生吾輩どおりを息白く

これから受験の時期。信愛を受験する中学生や、これから大学へ向かう先輩方の様子を描写しました。

安永 早春香

月連れて四百年の城めぐる

月の出ている夕べに熊本城を訪れている人々。築城以来さまざまなことがあった熊本城を、具(つぶさ)に見てきたのは月だと思い、そんな月にガイドしてもらっているようなイメージで読みました。

月眩し城の瓦礫も輝いて

満月の明るい月を見ながら熊本の復興を感じたという句です。

原田 彩乃

団子屋に先生もゐて漱石忌

団子屋に入っていく顔見知りの先生を発見し、「そういえば今日は漱石の命日だったな」と思いを馳せた句です。「坊っちゃん」を連想して鑑賞いただけたら嬉しいです。

秋時雨漱石のごと筆を執る

外の秋時雨を眺めながら、なんとなく物思いにふけっている作者。自分の中の鬱屈した気持ちをいっそ筆をとって表現してみようと思った句です。

上村 地誉