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令和2年度九日読書会 ―わたしのお薦めの1冊―(第3回報告)

開催日時 令和2年12月26日(土)14時~15時30分

会  場 熊本市民会館・大会議室

講  師 熊本大学教授 

     西槇 偉 先生

演  題 『草 枕』~中国でどのように読まれてきたか~

 

西槇先生には、前年度の九日読書会シリーズでは、『満韓ところどころ』についてお話いただきましたが、今年度も中国からの視点で、丁寧に講演いただきました。まず、漱石の作品が100年前から、中国で翻訳され、一般の人々にも読まれるようになったこと、そして、漱石作品の中で最初に翻訳された単行本が『草枕』だったことが分かりました。翻訳者の中のひとり豊子愷は随筆『塘棲』で『草枕』に触れており、「我を知るもの、それただ漱石のみか」と締めくくっていると、説明がありました。さらに、豊子愷の『野外理髪処』も比較文学からみると、描写や締めくくりが『草枕』に通じるものがあると伺い、漱石の影響力を垣間見た思いでした。最後にまとめとして、周作人の『日本近三十年小説之発達」の一文を上げられ、漱石文学の特色と与えた影響がみられることも解説されました。今回、『草枕』が中国でどう読まれてきたか、という貴重な講演は興味深く、悠久の時間を感じました。(当日参加者は70名)

 

☆次回は令和3年1月10日(日)14時~ 市民会館・大会議室

 五島 慶一 先生 (熊本県立大学准教授)『二百十日』~偉大なる阿蘇~