開催日時 令和3年11月6日(土) 14時~15時30分
会 場 熊本市民会館シアーズホーム夢ホール・大会議室
講 師 熊本大学五高記念館客員准教授 玉名市草枕交流館館長 村田 由美 先生
演 題 『三四郎』~美禰子の結婚~
村田由美先生には昨年と同じ『三四郎』を取り上げていただきました。副題が昨年は~美禰子の恋~。今年は~美禰子の結婚~。
まず、地方青年の成長物語として読まれていた作品が、現在では新しい読み方に変わってきていることを紹介されました。続いて、今回の副題に沿った形で三四郎と美禰子の描写に絞り、章ごとの資料を示されながら、描写の奥に漱石が潜ませた美禰子の野々宮への心情を示唆されました。美禰子に相対して登場する三輪田のお光さんがキーパーソンになることも指摘され、作中に描かれていない三四郎の故郷での出来事に想像が膨らみました。最終章に至っての、美禰子の恋とは異なる相手との結婚は、当時の社会制度では抗えないことも説明され、漱石の作品がリアルな社会風潮を知る手掛かりになることにも改めて気付かされました。
様々な角度から読むほどに魅力が増す『三四郎』。『それから』『門』へ繋がる証左の期待を残して講話を閉じられました。(参加者70名)
☆次回は12月11日(土)14時~ くまもと県民交流館パレア 第一会議室(鶴屋東館9F)
屋敷 信晴 先生 『漱石の漢詩』~自然表現を中心に~