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令和3年度 九日読書会 ―わたしのお薦めの1冊―(第4回報告)

開催日時  令和4年1月8日(土)  14時~15時30分

会  場  熊本市民会館シアーズホーム夢ホール・大会議室

講  師  熊本大学大学院人文社会科学研究部教授 西槇 偉先生

演  題  『永日小品』~漱石と魯迅 豊子愷をつなぐもの~

 

新年最初の読書会ということで、『永日小品』から、正月にちなんだテーマを取り上げたいと、ご自身の漱石のイラストを描いた年賀状の紹介から始められました。まず作品の成立と構成について。『永日小品』は、漱石作品の中でも小説と随筆の間に位置付けられ、東京朝日新聞と大阪朝日新聞に明治42年の1月14日から3月12日まで25編が掲載された。日常生活、ロンドン生活、漱石自身の体験などがまとめられており、『夢十夜』に通じる作品もあると解説されました。次に、その中で、正月に相応しい『元旦』について。実は、『元旦』は1月1日に掲載されているのだが、『永日小品』には含まれていない。しかし、その中で当時の正月風景が描かれ、祝祭的の高揚感が表現されている。また、漱石との師弟関係にある人々が登場している。実名で登場する高浜虚子は紋付袴で訪れ、漱石と一緒に謡や鼓を披露した様子や、当時漱石が支援していた森田草平もフロックを着た若い男として描かれている。『永日小品』と、ここに読み取られる師弟関係は、魯迅や豊子愷の興味を喚起し、影響を与えているようだと読み解かれました。

最後に、正月の雰囲気を味わってほしいと、「漱石クイズ」をご紹介いただき、楽しいひと時を終えました。

(参加者 70 名)

 

☆次回は 令和4年2月12日(土)14時~ 

     熊本市民会館シアーズホーム夢ホール・大会議室

     西川 盛雄 先生  『夢十夜』~ハーンと漱石の世界~