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くまもと漱石塾 開催報告

「くまもと漱石塾~熊本の4年3ヵ月~」

 

開催場所  漱石第6旧居(熊本市中央区北千反畑町)

講  師  村田由美先生(草枕交流館館長、熊大漱石記念館客員准教授)

 

第1回   令和4年8月6日(土)10:30~12:00

 漱石が熊本で最後に過ごした北千反畑町の旧居で行われた漱石塾。

3回シリーズの初回は、「漱石が語る熊本の印象は・・」、「漱石の引っ越しの真相は・・」「漱石と境子夫人の夫婦仲は・・」などなど、興味深く拝聴しました。「漱石のお孫さんによると、漱石の思い出の写真の中で、熊本時代の漱石が一番穏やかな表情をしているように思う」というお話に、熊本時代の漱石に思いを馳せました。そして「漱石というと松山が有名だが、熊本で暮らした4年3ヵ月については意外と知られていない。熊本には漱石の足跡が至る所に遺っており、全国的に見ても熊本だけ。もっと「熊本の漱石」をアピールすべき」という言葉が心に響きました。(参加者14名)

 

第2回   令和4年8月13日(土)10:30~12:00

 「漱石の旅」と題して、熊本時代の漱石が北九州北部への新婚旅行をはじめ九州各地を旅したエピソードを紹介されました。当時の修学旅行(天草・島原地方、山鹿地方の2回)は軍事演習を兼ねており、生徒は軍隊のように行軍していたこと、移動のほとんどが徒歩で、引率の漱石も然りです。さらに、大江村から24K離れた小天温泉旅行へも徒歩で向かったと伺い、明治の人の健脚ぶりには驚嘆しました。阿蘇登山は山川新次郎とのお別れ旅行であったこと、森田草平編「漱石先生『言行録』」から『草枕』の女主人公前田つな子の談話に見識を深めることができ、さらに漱石を身近に感じました。(参加者12名)

 

第3回   令和4年8月20日(土)10:30~12:00

 漱石塾最終回の前半は、「漱石と五高生」題して漱石の家に寄宿した俣野義郎、土屋忠治、湯浅簾孫、行徳二郎とのエピソードについて、当時 を彷彿とするような話に、漱石のほのぼのとした人柄が偲ばれました。後半は俳句結社「紫溟吟社」を結成した中心人物―厨川肇、蒲生栄との関わり、漱石を人生の師と仰いだ寺田寅彦など、門下生一人ひとりを大切に、真摯に向き合ったあたたかい漱石像に触れることができ、今なお世界中から愛されている源流は五高で育まれたという思いが巡りました。最後に「漱石クイズ」にチャレンジし、3回の講座を締め括られました。(参加者14名)