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令和4年度 漱石九日読書会~書籍『―アイラヴ漱石先生』より~ (第1回報告)

理事長挨拶
理事長挨拶
読書会の模様
読書会の模様

令和4年度の漱石九日読書会にも120名の皆さんにお申込みいただき、10月9日(日)にスタートしました。開演に先立ち、小野友道理事長より、すでにスタートしている高校生による朗読館のFM放送や、4月に刊行したガイドブックを紹介する挨拶がありました。

第1回目は熊本大学名誉教授の西川盛雄先生に漱石ガイドブックにも掲載されている『夢十夜』について“ハーンと漱石の世界”というテーマで、講演していただきました。

『夢十夜』の中から、特に第三夜について取り上げられました。第三夜は子殺しの話ですが、漱石は自分にも怪談話を書けるが、もっと違った形の作品ができると考えていたようで、ハーンと漱石では描き方が違い、似て非なるものといえるとのことです。帰結もハーンの『持田浦の子殺し』は「百姓は僧侶になった」と少し救いのある終わり方になっているが、これに対し、リアリストといえる漱石は「背中の子が急に石地蔵のように重くなった」という結末になっており、ここに、二人の作家の背景の違いの一面も見ることができると解説されました。二つの作品を、いつ、どこで、だれが、何をして、どうなったという点で、読み比べるとわかりやすくなるのではないかとも提案されました。また、『夢十夜』の他の話も解説され、不条理、深層意識などを読み解かれました。

冒頭では、先生ご自身が二つの作品を朗読してくださり、読書の秋に相応しい時間となりました。

 

次回は11月19日(土)14時~ 熊本市民会館・大会議室

濱田明先生(熊本大学教授) 『文鳥』~文鳥がもたらした世界~