· 

令和4年度 漱石九日読書会 ~書籍『―アイラヴ漱石先生』より~ (第2回報告)

第2回目は、11月19日に熊本大学文学部教授で、文学部付属漱石・八雲研究センター長の濱田明先生に漱石ガイドブックにも掲載されている『文鳥』について“文鳥がもたらした世界”というテーマで、講演していただきました。

『文鳥』 は1908(明治41)年に、『夢十夜』と『三四郎』というよく知られた作品の間に書かれたもので、東京朝日新聞ではなく、大阪朝日新聞に連載されたと説明されました。そして、コード(指標:ジャンル、タイトル、登場人物)、作者、テクスト(作品)、コンテクスト(歴史・社会的文脈)、読者という視点から読み解いていかれました。その中で漱石の“文鳥”は、本来の攻撃的で力強い文鳥ではなく、女性的で美しい姿で描写されていると、その描写がわかる引用箇所を紹介されました。

1910(明治43)年には、春陽堂から刊行された『四篇』に掲載されて、橋口五葉による挿絵には白文鳥が描かれていることも説明され、さらに、『夢十夜』や『永日小品』などにもつながっていく作品であると話されました。

冒頭では、濱田先生ご自身が飼われていた白文鳥について、愛情深く語られ、具体的なイメージがわかるように、文鳥の写真や動画をしめしながら、話を進められました。参加者の皆さんの中にも実際に文鳥を飼われている方もおられ、会場全体が『文鳥』の世界を感じることができました。(参加者80名)

 

 

次回は12月17日(土)14時~ 熊本市民会館・大会議室

 坂元昌樹先生(熊本大学教授) 『 吾輩は猫である 』 ~猫から見た世界~