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令和5年度漱石九日読書会 ~『漱石書簡集』~ 第3回報告12月16日開催

講師:村田由美先生

 

第3回目は、『漱石と五高生』です。

今回は、漱石の第五高等学校時代の教え子が多く登場しました。漱石は、五高生は礼儀正しいとも言っており、どの教え子にも愛情をもって接していたことが書簡からもわかりました。教え子の中でも、書生の俣野義郎や土屋忠治、湯浅康孫とは多くの書簡を交わしています。俣野は、「吾輩は猫である」の多々良三平のエピソードにも取り入れられているとのことで、漱石家でも自分の家のように過ごしていてようです。そして、漱石は俣野だけでなく、土屋や湯浅の卒業後も就職先まで面倒をみていたそうです。その間にやり取りされた書簡も率直なもので、深い親交があったことが見て取れると、村田先生は説明されました。

また、五高時代には、明治32年に、厨川肇、蒲生紫川、平川草江、白仁白楊(のち坂元雪鳥)らによって、俳句結社「紫溟吟社」結成され、俳句を通じた教え子たちもいました。

最後に、村田先生は、多くの教え子たちと交わされた書簡を通じ、漱石の文学者とは別の面も知ってもらえたらとも話されました。確かに、おおらかに見守り、思いやりを持ち、常に教え子たちのことを気にかけている師の姿は、これまでの漱石のイメージを変えるものがありました。(参加者65名)

 

☆ 次回は1月6日(土)14時~ 熊本市立図書館・ホール

 『漱石と弟子たち』