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令和5年度漱石九日読書会 ~『漱石書簡集』~ 第5回報告2月24日開催

講師:村田由美先生

 

第5回は、『漱石晩年の手紙』です。

晩年になってからも、漱石は1日20通以上の手紙を書くほど、書簡のやり取りは好きだったとのことで、本の感想を送ってきた小学生6年生の読者への手紙も紹介されました。続いて、次世代への書簡です。漱石は、白樺派以降に今後の文壇を変えていく世代との期待を込めて、若者にも多くの書簡を送っています。中でも、久米正雄と芥川龍之介への連名の大正3年4月19日付の手紙は著名な手紙の一つで、特に著名な一文があり、先生ご自身も気に入っている表現があると話されました。他に、武者小路実篤とも書簡のやり取りがあり、その書簡は一般的には評価されているとのことですが、先生としては異なる見解を示されました。そして、漱石の若い人たち各々への対応に違いはあるものの、手紙を通して、慈しみの心を持って接しており、その誠実な人柄が感じられると強く語られました。他に、禅僧二人との書簡、家族のへの思いが伝わる手紙も読まれました。最後に、漱石が残した数多くの書簡を読むことができる書籍もご紹介いただきました。

5回にわたり、村田先生は漱石と交流のあった多くの関係者の書簡を解説してくださいました。その多彩な書簡を通して、これまで知りえなかった新たな漱石に出会い、その文学作品の奥深さを知る機会となりました。また、毎回熱心に語られる村田先生の情熱も伝わり、参加された皆さんからは、「たいへん面白かった」、「書簡集もぜひ読んでみたい」などの感想が寄せられています。

(参加者65名)

 

☆次回は3月16日(土)14時~ 熊本市民会館2F大会議室  

朗読研究会による漱石作品の”朗読会“