開催日時 10月6日(土)14時~15時30分
会 場 熊本大学くすの木会館レセプションホール
講 師 熊本大学大学院人文社会科学研究部教授 坂元昌樹 先生
令和6年度の漱石九日読書会にも70名の皆さんにお申込みいただき、10月6日(日)より開催いたしました。開講に先立ち、小野友道理事長より挨拶がありました。
今年度は、熊本大学文学部付属漱石八雲教育研究センターのご共催、熊本近代文学研究会のご協力により、漱石が4年3ケ月を過ごした熊本時代を辿る5回の講座と漱石朗読研究会による漱石作品の朗読会です。
第1回目の坂元昌樹先生の講演は漱石が来熊した1896年(29歳)をめぐる考察でした。まず、漱石が来熊した1896年からロンドン留学するまでの1900年の熊本時代について、概要を説明されました。そして、今回のテーマとなる1896年については、熊本近代文学研究会『方位』第19号の「熊本時代の漱石年譜」をもとに解説されました。漱石はこの年に五高に赴任し、五高で多くの行事に関わるとともに、私生活では鏡子夫人と結婚をするなど、興味深い公私の動向でした。次に、五高の『龍南会雑誌』(第49号 明治29年10月発行)に掲載された論説「人生」の位置づけについて、読み解れました。当時、漱石は英語教師であると同時に英文学者でもあり、学生に向けて書かれたものであると言えると指摘されました。また、論説「人生」の主旨、視点を説明され、その後の創作に関わりの深い一文であり、小説作品に影響を及ぼすものであるとも話されました。
漱石の熊本時代の今後の講座にも連なる入口ともいえる今回の講演で、参加者の皆さんも、坂元先生に準備いただいた詳細な資料を手に、熱心に聴講されていました。(参加者 62名)
☆次回は令和6年11月10日(日)14時~
熊本大学くすの木会館レセプションホール
西槇 偉 先生